3. 支配人

商人に雇われて商人のために働く者のことを商業使用人という。
商法上、商業使用人の中で最も広い代理権が与えられているのが支配人
支配人は、商人に代わってその営業に関する一切の裁判上または裁判外の行為をすることができる。(21条1項)
※ 支配人も商業使用人であって商人になれるわけではない。
※ 商人が支配人を選任したときは、その登記をしなければならない。(22条前段)
※ 支配人は、他の使用人を選任・解任することができる。(21条2項)

商人Aが2号店を出店するにあたり、支配人としてSを雇用した場合。
※ Sは、2号店のことなら、Aに代わってAのために取引訴訟ができる。
※ Aは、Sの代理権を制限することはできるが、その制限を知らない第三者に対抗することはできない。(21条3項)
※ Sは、Aの許可を得ないで、S自身や第三者のためにAの営業の部類に属する取引をしてはならない。(23条1項2号)(Sには、競業避止義務がるから。)
※ Sは、Aの許可を得ないで、別の仕事を自ら行ったり、他の人に雇われて働いたり、他の会社の取締役になってはならない(23条1項・1号・3号・4号)


〈表見支配人〉

商人が支配人ではない者に対して支配人であるかのような名称をつけている場合、その者は、当該営業所の営業に関し、一切の裁判外の行為をする権限を有するものとみなされる。(支配人とみなされるわけではない。)(商人に効果が帰属するということ。)
※ 相手方が悪意のときは、この限りでない。(24条ただし書)


〈支配人と代理商との比較〉

商人のためにその平常の営業の部類に属する取引代理または媒介をする者で、その商人の使用人でない者のことを代理商という。(27条)
(酒屋をやっているBが保険会社Aの代理店もやっている場合。)

~ 支配人 ~
商人に代わってその営業に関する一切の裁判上または裁判外の行為をする権限を有する商業使用人
※ 法人を選任できない
※ 代理権を有する
※ 競業避止義務がある
※ 営業避止義務がある

~ 代理商 ~
一定の商人のために平常その営業の部類に属する取引代理または媒介をする者。
※ 法人を選任できる
※ 締約代理商は、代理権あり
※ 媒介代理商は、代理権なし
※ 競業避止義務は、あり
※ 営業避止義務は、なし

PAGE TOP