13.即時強制

 緊急の事態に対処するために、義務を命じることなく直接に国民の身体や財産に実力を加えることを即時強制という。(義務の不履行を前提としない。)

※ 法律の根拠は、緊急時に対処するための実力行使の時に必要な1つでよい
それと比較して、行政上の強制執行の一つである直接強制では、義務を命じる(下命)の時に法律の根拠が必要で、義務が発生し、その義務が不履行となり、実力行使をするときにも法律の根拠が必要となり、直接強制のときには2つの法律の根拠が必要になる。

例) 消防士が火事で燃えている家の窓ガラスを割って侵入し、中にいた子どもを救助する場合。

〈即時強制の例〉

感染症予防法に基づく強制入院
消防法に基づく消火活動のための立ち入りや家屋の倒壊
警察官職務執行法に基づく泥酔者の保護
道路交通法に基づく違法駐車の自動車のレッカー移動
入管法に基づく外国人の退去強制

※ 一般法となるべき法律がないので、個別法に根拠規定が置かれている。


※ 直接強制が義務の不履行を前提としているのに対し、即時強制は義務の不履行を前提としていない点に注意。

※ 直接強制も即時強制も、実力行使のときに法律の根拠が必要な点は共通

PAGE TOP