14.行政罰

行政上の過去の義務違反に対し、制裁として科される罰を行施罰という。

行政罰には、行政刑罰秩序罰がある。

〈行政刑罰〉(法律の根拠が必要)

行政上の義務違反に対し刑罰が科される
※ 刑法総則の適用も、刑事訴訟法の適用もある
※ 刑罰には、死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留、科料、没収がある。
※ 個人情報保護法には、個人情報保護委員会からの命令に違反した個人情報取り扱事業者を1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処す旨の規定がある。(178条)

〈秩序罰〉(法律の根拠が必要)

手続きを怠るなど刑罰を科すほどではない比較的軽微な義務違反に対し過料が科される
※ 刑法総則の適用も、刑事訴訟法の適用もない
※ 秩序罰は、過料が科される。
※ 戸籍法には、正当な理由がなくて期間内にすべき届出または申請をしない者5万円以下の過料に処す旨の規定がある。


〈秩序罰の科し方〉

秩序罰は、刑罰ではない。裁判所のより科すときな手続きには、非訟事件手続法が適用される。
地方公共団体の場合、条例に基づき条例違反者に対して過料を科すときは、地方自治法により、地方公共団体の行政行為の形式で出す。(地方自治法14条3項では、条例違反者に対して5万円以下の過料を科す規定を設けることを認めている。例えば、A市で途上喫煙禁止条例を制定し、路上喫煙禁止区域内の路上で喫煙した者に対して2万円以下の過料を科すときの手続きは、地方自治法に基づき、A市長によって、行政行為の形式で科される。)

〈秩序罰として過料を科す場合〉

法律に基づき法律違反者に過料を科す場合、非訟事件手続法に基づき裁判所で科す。

条例に基づき条例違反者に過料を科す場合、地方自治法に基づき地方公共団体の長(知事、市長村長)が科す。

〈併科〉

行政刑罰や秩序罰のほかにも

 課徴金(行政目的達成のために行政庁から国民に対して課される金銭的不利益などのこと。例えば、独占禁止法においてカルテルなどの違反行為防止のためや、景品表示法において不当表示の防止のために認められている。)や、懲戒処分などの制裁もある。

 行政刑罰と課徴金を両方科すなど、それぞれの要件を満たせば併用して課すことも可能

〈両罰規定〉

法人の代表者や従業員など違反行為をした者自身の他に、当該法人も処罰する規定を両罰規定という。

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