国や地方公共団体は、行政主体にあたる。行政主体とは、行政活動において権利義務の帰属先となる法人のこと。(主体=帰属先)
他にも、独立行政法人(公共的には必要で、国という法人が直接実施する必要はないけど、民間の法人に実施させる性質ではないことを処理する法人)がある。
~ 中間目標管理法人 ~
※ 公共利益の増進を目的として3~5年の中間的な目標・計画に基づいて公共上の事務事業を行う独立行政法人のこと。
(国民生活センター、国際協力機構【JICA】、国立美術館、医療品医療機器総合機構【PMDA】)
~ 国立研究開発法人 ~
※ 科学技術に関する試験、研究、開発にかかわる業務を5~7年の中期的な目標・計画に基づいて行う独立行政法人のこと。
(日本医療研究開発機構【AMED】、情報通信研究機構、国立環境研究所)
~ 行政執行法人 ~
※ 国の行政事務と密接に関連する事務・事業につき、国の関与の下で、単年ごとの目標・計画に基づいて執行する独立行政法人のこと。
(国立公文書館、統計センター、造幣局、国立印刷局)
〈行政機関〉
行政主体のために行政活動を行う地位にある人間や人間の集まりのことを行政機関という。(意思表示などを行う。1人もあれば数人のグループもある。)
〈行政機関の分類〉
※ 行政法学上の分類。国家行政組織法などの法律によって定義規定が設けられたものではない。
~ 行政庁 ~
行政主体の意思や判断を決定し、私人に表示する権限をもつ行政機関。
(内閣、各省大臣、都道府県知事、市町村長など)
※ 独任制が採られることが一般的(責任の所在が明らか)。内閣や委員会のように合議制の行政庁もある。(複数の者で中立・慎重に判断すべきものは、合議制で意思表示する。)
~ 補助機関 ~
行政庁の意思や判断の決定を補助する行政機関。
(各省事務次官、副知事、副市長村長)
~ 執行機関 ~
私人に対し実力を行使する権限を有する行政機関。
(警察署員、消防署員)
~ 諮問機関 ~
行政庁の諮問に応じて意見を述べる行政機関。(諮問機関の意見は、行政庁を法的に拘束しない。
(法制審議会)
※ 意見は法的拘束力を有さないが、諮問機関への諮問が法律で定められているのに諮問せずに処分をすると違法な処分となり、取消しの対象となる。
~ 参与機関 ~
行政庁の意思または判断の決定に参与する行政機関。(参与機関の意見は、行政庁を法的に拘束する。)
(電波法に基づく審査請求に関する電波監理審議会)
~ 監査機関 ~
他の行政機関の事務処理を監査する行政機関。
(会計検査院)
〈指揮監督〉
上級行政庁は、下級行政庁に対して指揮監督権を有する。
〈権限の委任と代理〉
行政機関は、法律で割り当てられた権限を自ら行使するのが原則。権限の委任や権限の代理の授与が可能な場合もある。
~ 権限の委任 ~
行政機関が、その権限を他の行政機関に譲って、その行政機関の権限として行わせることを権限の委任という。
※ 権限の移動があり、法律の根拠が必要。
※ 権限を行使した行政庁の名で行使。
~ 授権代理 ~
行政機関が、その権限を他の行政機関に授権して代理関係を成立させ、他の行政機関に代わりに行わせること。
※ 権限は移動せず自分のところに権限を置いたままで代理させる。
※ 法律の根拠は不要で、権限を授与した行政庁の名で行使。
~ 法定代理 ~
法律の定めに従い、行政機関の権限を他の行政機関が代わりに行うこと。
※ 権限は移動しない。法律の根拠は必要。
※ 権限を授与した行政庁の名で行使。