31.差止め訴訟

〈差し止め訴訟〉

行政庁が一定の処分をすべきでないにも関わらずこれがされようとしているときに、行政庁に当該処分をしないよう求めるために用意された訴訟を差し止め訴訟と言う。

 行政庁AがXに対して出すべきでない処分を出そうとしている場合に、Xが差し止め訴訟を提起するとき。

※ 差止め訴訟は、一定の処分がされることにより重大な損害を生ずるおそれがある場合に限り、提起することができる。ただし、その損害を避けるために他に適当な方法があるときはこの限りでない。(37条の4第1項)
※ 差止め訴訟は、行政庁が一定の処分をしてはならない旨を命ずることを求めるにつき法律上の利益を有する者に限り、提起することができる。


〈仮の差止め〉

差止め訴訟には、判決がでるまでには時間がかかることを考慮し、仮の権利保護の仕組みとして、仮の差止めの制度がある。

行政庁Aに対して出すべきでない処分を出そうとしていることに対し、Xが差止め訴訟を提起した場合。

〈仮の差止めの要件:37条の5第2項・3項〉
① Xが、差止め訴訟を提起し、仮の差止めの申立てをしたこと。
② 処分がされることにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があること。
③ 本案について理由があるとみえること
④ 仮の差止めをしても、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがないとき
※ 仮の差止めには、執行停止における内閣総理大臣の意義の制度も準用される。(37条の5第4項)


〈準用条文〉

取消訴訟と同じルールが適用されるところは、取消訴訟の条文を準用する形式がとられている(38条)。

~ 取消訴訟のルールが準用されているもの 
※ 被告適格の規定
※ 裁判管轄の規定
※ 判決の拘束力の規定

~ 取消訴訟のルールが準用されないもの ~
※ 執行停止の申立ての規定
※ 出訴期間の規定(差止め訴訟には、出訴期間の規定がない)
※ 判決の第三者効の規定

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