34.国家賠償法2条

〈公の営造物の設置・管理の瑕疵による国家賠償2条〉

道路、河川その他の公の営造物設置または管理瑕疵があったために他人に損害を生じさせたときは、または公共団体がこれを賠償する責任を負う。


〈要件〉
① 公の営造物に関するものであること。
② 設置・管理の瑕疵に基づく損害が発生していること。

※ 国または公共団体に過失がない場合でも責任を免れるわけではない。(無過失責任)
※ 瑕疵には、物理的な欠陥のほか、機能的瑕疵も含まれる。(機能的瑕疵とは、空港が機能した結果、航空機の離発着による騒音被害など)
※ 周辺住民など利用者以外の第三者に対する損害も賠償の対象となる。


~ 賠償責任が免責される場合 ~
※ 県道で工事箇所を表示する赤色灯標柱が倒され、その直後に自動車が工事箇所を通過して事故が起きた場合、賠償責任は免責される。(最判昭50.6.26)
※ 通常の用法に即しない被害者の行動の結果損害が生じた場合、賠償責任は免責される。(最判昭53.6.26)
※ 大雨により改修中の河川から水があふれ、浸水被害が生じた場合、賠償責任は免責される。(最判昭59.1.26)

~ 賠償責任が免責されない場合 ~
※ 道路の落石防止のために防護柵を設けるなどの措置をとるための予算措置に困却し、当該措置をとらなかった場合、賠償責任は免責されない。(最判昭50.7.25)
※ 国道に事故車が87時間放置され、後続車が激突して事故が起きた場合、賠償責任は免責されない。(最判昭59.1.26)


〈賠償責任者〉
公の営造物の設置・管理の瑕疵による損害について、国家賠償責任を負うのはまたは公共団体。(2条1項)

公の営造物の設置・管理にあたるのがB市であり、公の営造物の設置・管理の費用を負担するのがC県であった。この営造物の瑕疵によりXに損害が発生した。
※ Xは、B市だけではなく、C県に対しても損害賠償請求できる。(3条1項)
※ C県が損害を賠償した場合、C県はB市に対して求償権を有する。(3条2項)

〈求償〉
他に損害の原因について責に任ずべき者があるときは、国または公共団体は、その者に対して求償できる。(2条2項)

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