日本国憲法92条
「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治法の本旨に基づいて、法律でこれを定める。」
この実施法として、昭和22年に「地方自治法」が制定された。
地方自治法の目的(1条)
地方自治の本旨… 住民の自治(地域のことは地域の住民で決める)、団体事務(地域のことは国から独立した団体によって統治する)の2つが地方自治の本旨だと考えられている。(法律上の定義規定はない)
※ 民主的・能率的な行政の確保、地方公共団体の健全な発達の保障などについて規定。
※ 地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとされている。(1条の2第1項)
〈地方自治法の条文体系〉
☆総則(1条~4条の2)
→目的、地方公共団体の種類・事務、一般原則
☆普通地方公共団体(5条~13条の2)
→市町村、都道府県
☆条例・規則(17条~19条)
→選挙権・被選挙権
☆直接請求(74条~88条)
→直接請求
☆議会(89条~138条の4)
→議会の権限、議員の地位
☆執行機関(139条~202条の9)
→長、内部統制、行政委員会、議会との関係
☆給与その他の給付、財務(203条~243条の5)
→予算、決算、住民監査請求、住民訴訟
☆公の施設(244条~244条の4)
→公の施設、指定管理者
☆国と普通公共団体との関係及び普通地方公共団体相互間の関係(245条~252条の26の2)
→国の関与
☆大都市等に関する特例(252条の19~252条の26の2)
→指定都市、中核市
☆補則(253条~263条の3)
→地縁による団体
☆特別地方公共団体(281条~297条)
→特別区、地方公共団体の組会、財産区
地方公共団体には、普通地方公共団体と特別地方公共団体がある。地方公共団体は各々が法人。
普通地方公共団体(都道府県・市町村)
特別地方公共団体(特別区、地方公共団体の組合、財産区)
〈大都市の特例〉
~ 指定都市 ~
人口要件(人口50万人以上の市)
政令で指定(政令で指定する)
指定の申出(なし)
できること(政令の定めにより都道府県の事務の一部を処理できるようになる。(252条の19第1項)
行政区(設置される:252条20)
※ 指定都市に置かれる区(行政区)は、特別区(都におかれる区)と違い、区として法人格を有しない。
~ 中核市 ~
人口要件(人口20万人以上の市)
政令で指定(政令で指定する)
指定の申出(市が市議会の議決を経て都道府県の同意を得て指定の申出をし、総務大臣が指定にかかる政令を立案:252条24))
できること(政令の定めにより都道府県の事務の一部を処理できるようになる。(252条の22第1項)
行政区(設置されない)
~ 総合区 ~
指定都市が行政区の役割を拡充するため、条例により、行政区に代えて設置することができる区のことを総合区と言う。
※ 行政区の区長は一般職だが、総合区の区長は特別職。
※ 総合区の区長は、市長が議会の同意を得て選任する。
〈特別地方公共団体〉
~ 特別区 ~
※ 都に置かれる区のこと。
例)東京都の23区
~ 地方公共団体の組合 ~
※ 複数の普通地方公共団体および特別区が事務の一部を一緒に処理するために設立した組合のこと。
例)A市とB市でごみ処理を共同処理するために組合を設立する場合。
~ 財産区 ~
※ 市町村や特別区の一部で財産を有していたり公の施設を設けている場合などに、その財産または公の施設の管理や処分に関し、特別地方公共団体として法人格を与えられたもの。
例)A市内の山林や温泉を財産区とする場合
〈地方公共団体の組合〉
地方公共団体には、一部事務組合と広域連合の2種類がある。
~ 一部事務組合 ~
法人格(あり:特別地方公共団体)
構成団体(都道府県、市町村:複合的一部事務組合は市区町村のみ)
※ 複合的一部事務組合とは、共同する事務が複数の市町村間で異なる場合の一部事務組合のこと。A市とB市で○○事務を、A市とC市で△△事務を共同処理するにあたり、同じ一部事務組合で処理することも可能。
設置目的(事務の一部を共同処理)
国・都道府県からの権限の移譲の規定(なし)
設置手続(許可制:都道府県が含まれれば総務大臣、市区町村のみなら知事の許可が必要)
議会の設置(できる)
条例の制定(できる)
~ 広域連合 ~
法人格(あり:特別地方公共団体)
構成団体(都道府県、市町村)
設置目的(広域行政需要対応と国からの権限移譲の受入態勢整備)
国・都道府県からの権限の移譲の規定(国・都道府県から広域連合への移譲は、できる。/ 広域連合から国・都道府県に移譲を要請できる。)
設置手続(許可制:都道府県が含まれれば総務大臣、市区町村のみなら知事の許可が必要)
議会の設置(できる)
条例の制定(できる)
※ 広域連合は、消防や廃棄物処理の事務などのほか、後期高齢者医療制度に関する事務を扱うときにも利用されている。