契約は、申し込みの意思表示に対して承諾の意思表示があることで成立する。
意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生じる。
(到達主義)
心裡留保による意思表示は有効。
(冗談で売ると言っただけでも、相手が買うと返事をしてきたら、契約は有効)
〈心裡留保の例外〉
・相手方が悪意(真意でないことを知っていた。)
・相手方が善意でも過失があった(真意でないことは知らなかったが、ちょっと注意すればそれに気づいたはず。)
虚偽表示による意思表示は無効。
(相手方と示し合わせてウソの意思表示をすること。)
虚偽表示による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することはできません。
(善意であればよく、登記を備える必要や、無過失であるかは問われない。)
※ 第三者にあたるのは、1.その土地を譲り受けた人、2.その土地を差し押さえた人、3.その土地に抵当権の設定を受けた債権者
※ 転得者(BからCに転売、CからDに転売)に、無効を対抗できない。
(悪意のCから善意のD、善意のCから悪意のD)…どちらもDは保護される。
錯誤による意思表示は、その表示に対応する意思を欠く錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的および取引上の社会通念に照らして重要なものである時は、取り消すことができる。
錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合は、取り消しができない。
錯誤に陥っているAは取消できるが、Bは取消しできない。
追認することができる時(錯誤に気づいて取消権を有すると知った時)から、5年または行為のときから20年経過した場合、取消権は時効によって消滅する。
錯誤、詐欺、強迫によって取り消すことができる行為は、瑕疵ある意思表示をした者、代理人、承継人に限り取り消すことができる。
表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤に基づく意思表示も、その錯誤が法律行為の目的および取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。(動機の錯誤)
錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合、表意者は、錯誤により意思表示を取り消すことができない。例外として取り消すことができるのは、
①相手方が表意者に錯誤があることを知り、または重大な過失によって知らなかった時 ②相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたとき
の2つの場合。
詐欺による意思表示は、取り消しの対象。(気づいた後に履行したら追認とみなされ取消できなくなる。気づく前の行為は追認とみなされず取消しできる。)
BがAを騙してBが買う(取消し〇)
CがAを騙してBに売らせる(第三者の詐欺)⇒相手方(B)がその事実を知り、または知ることができた時に限り、取消すことができる。(善意無過失の第三者に対抗できない)
BがAを騙してBが買い、それをCに転売する。⇒Cが善意無過失の場合取消しを対抗できない。(登記不要)Cが悪意または有過失の場合、取消しを対抗できる。
騙されたAは取消できるが、Bは、取消できない。
追認することができる時(騙されたことに気づいて取消権を有すると知った時)から、5年または行為のときから20年経過した場合、取消権は時効によって消滅する。
強迫による意思表示は、取消し対象。(強迫とは、害悪を示して恐怖の念を生じさせること)
BがAを脅迫してBが買う。(取消し〇)
CがAを脅迫してBに売らせる(第三者の強迫)⇒相手方(B)がその事実を過失なく知らなかったとしても、取消すことができる。つまり、Bが善意無過失でも、悪意または有過失でも取消しできる。
BがAを強迫してBが買い、それをCに転売する。⇒Cが善意無過失でも、悪意または有過失でも取消しできる。
強迫されたAは取消できるが、強迫したBは取消しできない。
追認することができる時(畏怖の状態を脱して取消権を有すると知った時)から、5年または行為のときから20年経過した場合、取消権は時効によって消滅する。
〈無効と取消し〉
無効⇒ はじめから効力が生じない。(意思無能力者、心裡留保、虚偽表示)無効は、誰でも主張でき、いつまででも主張できる。
取消し⇒ 一応有効なものを取り消してなかったことにする。(制限行為能力者、錯誤、詐欺、強迫)主張権者と主張期間に制限あり。