〈先取特権〉… 債務者の債権から他の債権者に優先して弁済を受ける権利。(法律上当然に発生する担保物件)(例えば、給料債権など雇用関係に基づいて生じた債権には先取特権が認められている。)
※ 一般の先取特権と特別の先取特権(動産・不動産の先取特権)とが競合する場合する場合は、特別の先取特権が優先する。
〈一般先取特権同士で競合〉…債務者の財産一般について優先弁済権があるもの。
第一順位→共益の費用、第二順位→雇用関係、第三順位→葬式の費用、第四順位→日用品の供給
※ 一般先取特権は、動産や不動産の先取特権も対象になる。
〈動産先取特権の場合〉… 特定の動産に対してだけ優先弁済があるもの。
第一順位→不動産の賃貸、旅館の宿泊及び運輸の先取特権、第二順位→動産の保存の先取特権、第三順位→動産の売買、種苗又は肥料の供給、農業の労務及び工業の労務の先取特権
〈不動産先取特権同士で競合〉…特定の不動産に対してだけ優先弁済権があるもの
第一順位→不動産の保存、第二順位→不動産の工事、第三順位→不動産の売買
〈物上代位〉… 先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失、損傷によって債務者が受けるべき金銭などに対して、行使できる。(但し、払渡しまたは引渡しの前に差押えをしなければならない。
〈先取特権と第三者の関係〉… 債務者が目的物である動産を第三取得者に引き渡した後は、その動産について行使することができない。(占有回収による引渡しも含む。)
※ 不動産先取特権の登記をした後でその目的である不動産が譲渡された場合、債権者は、第三取得者に対して先取特権を行使できる。
※ 不動産先取特権の登記… 不動産保存→保存行為が完了した後直ちに、不動産工事→工事を始める前に費用と予算額を、不動産売買→売買契約と同時に不動産の代価またはその利息の弁済がされていない旨を、登記しなければならない。
〈不動産先取特権と抵当権との関係〉… 優先回収の順番は登記の先後で決まる。
※ ただし、登記をした保存と工事のための不動産先取特権は、抵当権に先立って行使できる。(売買のための不動産先取特権にこの効力は認められていない。)