19.債権譲渡

債権者は、債務者に対して有する債権を第三者に譲渡することも可能。この場合、債権を譲り受けた第三者が新しい債権者となる。

AがBに対して有する100万円の債権をCに譲渡する場合。
※ Aは、Bに対する債権をCに譲渡する場合、ACの合意で行うことができ、Bの承諾は不要
※ AB間で譲渡を禁止・制限する特約を結ぶこともできる
※ ACの合意の時点でAB債権は現に発生していなくてもよく、将来発生債権の譲渡できる


〈譲渡制限の意思表示〉
当事者が債権の譲渡を禁止または制限する旨の意思表示をした場合、債権譲渡がこれに違反して行われていても、譲渡自体は有効。(466条2項)
※ 預貯金債権の場合は、当事者がした譲渡制限の意思表示は、466条2項の規定にかかわらず、譲受人その他の第三者が、その譲渡制限の意思表示がされたことを知りまたは重大な過失によって知らなかったときは、債務者は、その譲受人その他の第三者に対抗することができる


〈債務者の履行拒絶〉
債権譲渡の譲受人が譲渡制限の意思表示がされたことを知りまたは重大な過失によって知らなかったときは、債務者は、その債務の履行を拒むことができる

AがBに対する100万円の金銭債権には、譲渡を禁止する旨の特約が付されていたが、この債権がAからCに譲渡された場合。
※ Cが悪意または重過失ありのときは、Bは、Cからの履行の請求を拒むことができる。


〈譲渡制限の意思表示と差し押さえ〉
債権者Aと債務者Bの間で譲渡制限の意思表示がされた債権であっても、債権者Aの債権者Cは、その債権に対して強制執行することができる。

AがBに対する100万円の金銭債権には、譲渡を禁止する旨の特約が付されていた場合に、この債権に対してAの債権者Cが強制執行により差し押さえるとき。
※ Cは、悪意または重過失ありだとしても、AのBに対する債権を差し押さえできる。


〈対抗要件〉
債権の譲渡があった場合、譲渡人から債務者に通知または債務者の承諾がなければ譲受人は債務者に対して自分が債権の譲受人であることを主張できない。なお、債権譲渡があったことを第三者に主張するには、債権者からの通知または債務者の承諾確定日付のある証書(内容証明書、公正証書など)によって行う必要がある。

AがBに対して有する100万円の金銭債権をCに譲渡した場合、Cが新しく債権者になったことをBに主張するための要件。
①か②のどちらかが必要⇒ ①譲渡人Aから債務者Bに対する通知(注:Cからの通知ではだめ。)②債務者Bの承諾(A、Cどちらにしてもよい。)


〈債務者の抗弁〉
債務者は、(譲受人Cが)対抗要件を備える時まで、譲渡人Aに対して生じた事由をもって、譲受人Cに対抗することができる

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