22.連帯債権

不可分債権… 債権の目的が性質上不可分である場合において、数人の債権者があるときに成立する債権。
ABCの3人1台の自動車Dから購入した場合に自動車を引き渡すよう請求する債権。Aは、みんなのためにDに履行を請求でき、また、DはAに対して履行することができる。

不可分債務… 債権の目的が性質上不可分である場合において、数人の債務者があるときに成立する債務。
ABCの3人が共有する1台の自動車Dに売却した場合の車を引き渡す債務。Dは、ABCいずれに対しても、車を引き渡すよう請求することができる。


連帯債権… 複数の債権者連帯して債権を有する関係に置かれること。

X・Yの2人Aに対して50万円の連帯債権を有している。X・Yは、いずれもAに対して50万円の履行を請求することができる。また、Aも、X・Yいずれに対しても履行することができるAが、Xに対して50万円を履行すれば免責され、Yからの請求に応じる必要はなくなる。(432条)→ YはXに対して、もらった50万円のうち内部割合が平等であれば25万円を分けるよう請求できる


〈絶対効と相対効〉
通常は、連帯債権者の1人に生じたことはほかの連帯債権者には関係ない。

絶対効… 連帯債権者の1人に生じた事由が他の連帯債権者にも影響する効果。
※ 弁済・請求・相殺・混同⇒債権消滅
※ 更改・免除⇒もう1人の連帯債権者がその権利を失わなければ分与されるべき利益に係る部分については、他の連帯債権者は、履行を請求することができない。要するに自分の債権額は請求できる。)

相対効… 連帯債権者の1人に生じた事由が他の連帯債権者には影響しない効果。(弁済・請求・相殺・混同・更改・免除以外の事由は、相対効となる。)

X・Yの2人が、Aに対して50万円の連帯債権(内部割合は平等)を有する場合。
① XはAに対して債権50万円全額の履行請求することができAはXに対して履行をすればYに対する債権も消滅する。(弁済・請求432条)※ 弁済には、代物弁済や弁済供託も含む。
② XA間で50万円は支払わなくてよいから時計を渡すことにするという旨の更改があった場合、YはAに25万円の請求をすることができる。(更改433条)
③ XがAに対して50万円は支払わなくてもよいという旨の免除をした場合、YはAに25万円の請求をすることができる。(免除433条)
④ AがXに対して有していた反対債権で50万円を相殺した場合、AX債権とXA債権の相殺によりAのYに対する債務も消滅する。(相殺434条)
⑤ Xが死亡してAが単独相続し、XA間で混同があった場合、Aは弁済したものとみなされ、AのYに対する債務も消滅する。(混同435条)

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