連帯債権… 複数の債務者が連帯して債務を弁済する関係に置かれること。
〈連帯債務関係〉
A・Bの2人がXに対して連帯債務を負っている場合、Xは、A・Bのどちらに対してでも全部の履行を請求できる。(436条)
また、A・Bいずれもが全部の履行をする義務があり、Aが履行すればBはもうXに対して履行しなくてよくなる。
A・Bの2人がXに対して50万円の連帯債務〈A・Bの負担部分は平等)を負っていて、AがXに50万円を支払ったとき。
※ Aが50万円を支払えば、BはXに50万円支払う必要はなくなり、AはBに25万円を支払うよう請求できる。この請求する行為を、「求償する」という。
① AがXに50万円全額を弁済した場合、BのXに対する50万円の債務も消滅する。(弁済)
② AX間で50万円は支払わなくてよいから時計を渡すことにするという旨の更改があった場合、BのXに対する50万円の債務も消滅する。(更改・438条)
③ AがXに対して有していた反対債権で50万円を相殺した場合、BのXに対する50万円の債務も消滅する。(相殺・439条1項)
④ Xが死亡してAが単独相続した場合、BのXに対する50万円の債務も消滅する。(混同・440条)
※ 弁済、更改、相殺、混同は絶対効(連帯債務者の1人に生じたことは他の連帯債務者にも影響する。)として扱われるが、それらを除けば相対効(影響しない)となる。(441条)
※ 連帯債務者の1人が債権者に対して債権を有する場合、その者が相殺を援用しない間は、その連帯債務者の負担部分の限度において、他の連帯債務者は、債権者に対して債務の履行を拒むことができる。(439条2項)(AがXに対して50万円の反対債権を有しているが相殺を援用しない間は、Bは、25万円の限度でXに対して履行を拒むことができるということ。)
※ A・Bの2人がXに対して50万円の連帯債務〈A・Bの負担部分は平等)を負う場合。AはBの存在を知っているのに弁済するにあたって、自分が弁済して共同の免責を得ることを通知しないで弁済したとき。⇒ Bは、Xに対して対抗することができる事由(例えばXに対する反対債権で相殺できるような事由があった場合Aの弁済で相殺の機会を失うから。)を有していたときは、Aからの求償に対してその負担部分について、その事由をもってAに対抗することができる。(443条1項)
※ 弁済をするときは事前・事後に他の連帯債務者に通知する必要があり、通知を怠ると求償に一定の制限がかかる。
※ A・Bの2人が連帯債務を負い、Aの負担部分が25万円でAが10万円だけ弁済した場合、Bに5万円の求償ができる。(弁済額が自己の負担部分を超えていなくても求償できる。)
※ A・Bの2人がXに対して50万円の連帯債務〈A・Bの負担部分は平等)を負う場合。AはBの存在を知っているのに弁済するにあたって、自分が弁済して共同の免責を得ることを通知を怠ったため、BがAの弁済を知らずにAに通知のうえでXに弁済したとき。⇒ Bは、自分の弁済を有効なものとみなすことができる。(BはAに求償できる反面、AはBに求償できなくなる。)
※ ABCの3人がXに対して90万円の連帯債務を負っており、AがXに90万円を弁済したところ、Cが無資力だった場合。⇒ 無資力Cが本来負担すべき30万円については、AとBで半分ずつ負担し合うことになる。BがAから求償を受ける額は自分の負担部分30万円とCの負担部分の半分の15万円を足した金額(45万円)となる。(連帯債務者の中に償還する資力のない者があるときは、その償還をすることができない部分について、求償者および他の資力のあるもので、各自の負担部分に応じて分割して負担する。(444条1項)