24.保証人

保証… 債務者が弁済できなくなったときに備え、債務者の代わりに弁済してくれる人(保証人)を立てておくこと

AがBに対して100万円の貸金債権を有し、CがBの保証人となっている場合。
※ Cは、Aから債務の履行の請求を受けても、まずは主たる債務者Bに催告するように言って、履行を拒むことができる。(催告の抗弁
※Cは、Aから執行を受けても、Bに弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明してまずは主たる債務者Bの財産から執行するように言って履行を拒むことができる。(検索の抗弁
※ 保証人が複数いる場合、Cは、Aから全額の支払いを請求されても、保証人の頭割りした額しか払わないと言って履行を拒むことができる。(分別の利益


※ 保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。(446条2項)
※ 保証契約がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなされる。(446条3項)


〈連帯保証人〉… 債権者と連帯して債務を負担してくれる保証人。

※ 連帯保証人の場合、単なる保証人に認められている催告の抗弁検索の抗弁は認められておらず、また、分別の利益ない

※ 主たる債権者に対する履行の請求その他の事由による時効の完成猶予および更新は、連帯保証人に対しても、その効力を生じる。(457条1項)

※ 連帯保証人弁済すれば主たる債務者の債権者に対する債務も消滅する
※ 連帯保証人と債権者との間で更改があった場合⇒主たる債務は消滅する
※ 連帯保証人が債権者に対して有する反対債権で保証責務を相殺した場合⇒主たる債務は消滅する
※ 連帯保証人債権者との間で混同があった場合⇒主たる債務は消滅する

※ 連帯保証人に対する請求相対効。主たる債務者には影響しない。(令和2年4月に施行)


〈抗弁の対抗〉
連帯保証人は、主たる債務者が主張することができる抗弁をもって債権者に対抗することができる。(457条2項)
主たる債務者が債権者に対して相殺権取消権解除権を有するときは、これらの権利の行使によって主たる債務者がその債務を免れるべき限度において、連帯保証人は、債権者に対して債務の履行を拒むことができる。(457条3項)

※ 主たる債務者Bが債権者Aに対して相殺権を有していることを根拠に、連帯保証人Cは、履行を拒否できる
※ 主たる債務者Bは連帯保証人Cが債権者Aに対して相殺権を有していてもそれを根拠に履行を拒否できない


〈委託を受けた保証人の場合の求償〉
保証人が主たる債務者の委託を受けて(頼まれて)保証をした場合、主たる債務者に代わって弁済をしたときは、その保証人は、主たる債務者に対し、そのために支出した財産の額を求償することができる。(459条1項)

※ 保証人Cが弁済をすることによりBはAに支払う必要はなくなり、CはBに対して求償することができる。(459条1項)
※ 求償額は、弁済その他免責があった日以降法定利息および避けることができなかった費用その他の損害賠償含む。(459条2項、442条2項)


〈委託を受けない保証人の場合の求償〉
保証人が主たる債務者の委託を受けないで(頼まれてはないが、主たる債務者の意思には反していない)保証をした場合、主たる債務者に代わって弁済したときは、その保証人は、主たる債務者に対し、主たる債務者がその当時利益を受けた限度において求償することができる。(462条1項、459条の2第1項)

一方、主たる債務者の意思に反して保証をした者の場合の求償の範囲は、主たる債務者が現に利益を受けている限度においてのみとなる。(462条2項)


〈事前の通知を怠った場合〉
主たる債務者Bが、債権者Aに対して負う債務につき、Bから委託を受けてCが保証している場合、CがBにあらかじめ通知をしないで弁済した時は、BはAに対抗することができた事由をもってCに対抗することができる。(463条1項前段)

〈事後の通知を怠った場合〉
主たる債務者Bが、債権者Aに対して負う債務につき、Bから委託を受けてCが保証している場合、Bが債務を弁済したときにCに対する通知怠ったため、Cが善意で第二の弁済をしたときは、Cは、自分の弁済を有効なものとみなすことができる。(463条1項前段)


〈共同保証人間の求償〉
AがBに対して100万円の貸金債権を有し、CとDの2人が債務者Bの保証人となっており、Aの債務の全額について責任を負う特約があった場合、DがAに弁済したときに、DはCに50万円の求償(負担部分が平等のとき)をすることができる
(主たる債権者Bに求償できるのは当たり前だが、他の保証人にも求償できるといくこと。主たる債務者との関係では負担部分はないが、保証人同士の関係では負担部分が存在する。)


〈個人根保証)
一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約(根保証契約)であって保証人が個人の場合、個人保証契約という。
この場合、保証人は、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息違約金等について、極度額を限度として、その履行をする責任を負う。(465条の2第1項)

個人根保証契約は、極度額を定めなければ、その効力を生じない。(465条の2第2項)

※ 破産手続開始決定による元本確定
主たる債務に貸金等債務あり⇒主たる債務者の破産の時も、保証人の破産の時も、元本確定しない
主たる債務に貸金等債務なし(例えば賃料債権など)⇒主たる債務者の破産の時は、元本確定しないが、保証人の破産の時は元本確定する


〈事業保証〉
事業のための貸金等債務についての個人保証契約は、保証契約締結の前1か月以内に作成された公正証書保証意思が確認されていなければ、無効とされる。(465条の6第1項)


主たる債務の履行状況についての情報提供〉
保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合、保証人の請求があったときは、債権者は、保証人に対し、遅滞なく、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息違約金等についての不履行の有無、これらの残額、そのうち弁済期が到来しているものの額に関する情報を提供しなけれなならない。(458条の2)

主たる債務者が期限の利益を喪失したことの情報提供〉
主たる債務者が期限の利益を有する場合、その利益を喪失したときは、債権者は、保証人に対し、その利益の喪失を知った時から2か月以内に、その旨を通知しなくてはならない。(458条の3第1項)なお、この規定は保証人が法人であるときは適用されない。(458条の3第3)

事業に係る債務についての情報提供〉
主たる債務者は、事業のために負担する債務を主たる債務とする保証または主たる債務の範囲に事業のために負担する債務が含まれる根保証委託をするときは、委託を受けるものに対し、一定の事項について情報の提供をすることが義務付けられている。(465条の10第1項)。
一定の事項⇒ ①財産及び収支の情報。②主たる債務以外に負担している債務の有無ならびにそのおよび履行の状況。③主たる債務の担保として、他に提供し、または提供しようとするものがあるとき。
なお、この規定は保証人が法人であるときは適用されない。(465条の10第3項)

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