AB間で、時計の売買契約をするとき、契約するかどうか、契約するとしていくらで売るか、いつお金を支払うのか、時計をどうやって引き渡すのか。AB間の合意で事由に決めることができる。
契約の成立… 契約は、契約の申込みに対して相手方が承諾したときに成立する。(522条1項)⇒ 「諾成契約(だくせいけいやく)」という。(書面を交わすことは契約成立の要件ではない。口約束だけでも契約は成立する。(522条2項)
※ 要物契約⇒ 申し込みと承諾のほかに物の引渡しなどを要する契約。
〈申し込みと承諾の効力発生〉
申し込みと承諾は、相手方に到達した時に効力を生じる。(97条1項)
8月1日にAが自分の時計をBに売りたい旨を記した申込書を送付。
8月3日に、この手紙がBのもとに到達。
8月7日にBが買いたい旨の返事を送付。
8月9日にこの手紙がAのもとに到達。
① 承諾と期間の定めのある申し込み⇒ 承諾の期間を定めてした申し込みは、撤回できない。(523条1項本文)(期間内に承諾の通知を受けなかったときは、効力を失う。)
② 承諾の期間の定めのない申し込み⇒ 承諾の期間を定めないでした申し込みは、申込者が承諾の通知を受けるのに相当な期間を経過するまでは、撤回できない。(525条1項本文)
③ 申込者の死亡⇒ Aが申し込みの通知を発した後に死亡した場合でもBに到達した申し込みの効力は生じたまま。もしAがその事実が生じた(Aが死亡した)場合はその申し込みは効力を有しない旨の意思を表示していたときは、その申し込みは効力を有しない。また、Bが承諾の通知を発するまでに、その事実が生じた(Aが死亡したこと)を知った時は、その申し込みは効力を有しない。(526条)
④ 遅延した承諾⇒ 承諾期間経過後に承諾された場合、申込者Aは、これをBからの新たな申し込みとみなすことができる。(524条)(期間経過後に承諾の返事をしても、それだけではAB間に契約は成立しない。これに対して、Aがさらに承諾の返事をすることで契約が成立する。)
⑤ 変更を加えた承諾⇒ 申込の拒絶とともに、Bから新たな申し込みがあったものとしてみなされる。(528条)(値引きした値段で買うという承諾があった場合、それだけではAB間に契約は成立しない。これに対して、Aがさらに承諾の返事をすることで契約が成立する。)