34.委任契約

委任契約は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって効力を生ずる契約。(643条)(委任者が必ず代理人になるとは限らない。委任契約により代理権を授与することは可能。)

無償委任… 友達に頼んで無料で自分の運営する団体のコンサルティングをやってもらうなど、報酬の特約のない委任契約

有償委任… 税理士に頼んで有料で会社経営のコンサルティングをやってもらうなど、報酬特約のある委任契約


〈受注者の注意義務〉
報酬をもらうかどうかにかかわらず、受任者は、委任の本旨に従い善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。(644条)


〈報酬特約〉
受任者は、特約がなければ、委任者に対して報酬を請求することができない。(648条1項)受任者は、報酬を受けるべき場合、委任事務を履行した後でなければ、これを請求することができない。(648条2項本文)

〈割合履行型の報酬〉
受任者は、①委任者の責めに帰することができない事由によって委任事務の履行をすることができなくなったとき。②委任履行の中途で終了したときは、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる。(648条3項)

〈成果完成型の報酬〉
委任事務の履行により得られる成果に対して報酬を支払うことを約した場合、その成果が引渡しを要するときは、報酬は、その成果引渡しと同時に支払われる。(648条の2第1項)

A(委任者)B(受任者)に事務処理を委任した場合。(委任契約)

※ 委任事務を処理するについて費用を要するときは、委任者Aは、受任者Bの請求により、前払しなければならない。(649条・費用前払請求)

※ 受任者Bは、委任事務を処理するのに必要と認められる費用支出したときは、委任者Aに対し、その費用の償還を請求できる。(650条1項・費用償還請求)

※ 受任者Bは、委任事務を処理するのに必要と認められる債務を負担したときは、委任者Aに対し、自己に代わってその弁済をすることを請求できる。(650条2項・債務代弁済請求)

※ 受任者Bは、委任事務を処理するための自己に過失なく損害を受けたときは、委任者に対し、その賠償を請求することができる。(650条3項・損害賠償請求)


〈委任契約の解除〉
委任は、各当事者いつでもその解除をすることができる。
委任契約をやむを得ない事由もないのに解除した者は、①相手方に不利な時期に委任を解除したとき、②委任者が受任者の利益(専ら報酬を得ることによるものを除く)を目的とする委任を解除したときは、相手方の損害を賠償しなければならない。

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