39.夫婦

〈婚姻の成立条件〉
婚姻は、婚姻意思の合致婚姻の届け出により成立する。

AとBが結婚する場合。
要件… 婚姻意思の合致実質的意思の合致作成時届出時の両方とも必要。) と 婚姻届 
    ⇒ 意思の合致や届出がない場合の婚姻は無効

※ 婚約の不履行の場合、債務不履行による損害賠償請求のほか、不法行為に基づく損害賠償請求もできる。ただし、強制履行はできない。また、結納が交わされている場合、婚約が当事者双方の合意により解除されたときは、受け取った結納金は相手方に返還する必要がある


〈婚姻障害(取消原因)〉←取消原因であって無効ではない。
婚姻意思の合致と婚姻届の提出があっても不適法な婚姻形態もある。民法が定める婚姻障害自由に該当すると婚姻の取消し原因となる。

婚姻適齢… 婚姻は、18歳にならなければ、することができない(731条)
重婚禁止… 配偶者のある者は、重ねて婚姻できない。(732条)
近親婚禁止… 直系血族または3親等内の傍系血族の間では婚姻することができない。(734条1項本文)
直系姻族間の婚姻禁止… 直系姻族の間では婚姻できない(735条)
養親子間の婚姻禁止… 養子と養親では婚姻できない。(736条)


〈夫婦の財産関係〉

AとBと結婚する場合。
※ 夫婦の一方が婚姻前から有する財産:その者の特有財産(762条1項)
※ 婚姻から生ずる費用:両名で分担(760条)
※ 婚姻中自己の名で得た財産:その者の特有財産(762条1項)
※ 夫婦いずれに属するか明らかでない財産:夫婦の共有に属するものと推定(762条2項)(「みなす」ではないことに注意。)
※ 夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をした場合、他の一方は、これによって生じた債務について連帯責任を負う。(761条本文)


〈離婚〉
離婚の方法…
離婚は、婚姻関係を解消すること。夫婦間の話し合いでまとまれば協議離婚。まとまらないときは、調停離婚裁判離婚という方法がある。
※ 離婚した場合、婚姻により氏を改めた夫または妻は旧姓に戻る。(767条1項)
届け出をすることで離婚前の氏を称することもできる。(767条2項)
※ 協議離婚の場合は、離婚意思の合致離婚の届け出により成立する。婚姻の場合と異なり、離婚は形式的意思の合致で成立する。

親権…
離婚した場合、子の親権は、父母のいずれか一方の単独親権となる。(819条1項・2項)。共同親権のままや第三者を親権者にするということはできない

姻族…
姻族関係は離婚によって終了する。(728条1項)

離婚に伴う財産分与
協議離婚をした場合、離婚した者の一方は相手方に対して財産の分与を請求することができる。(768条1項)
財産分与について当事者間で協議が調わないときには、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求でき家庭裁判所によって分与するかどうか分与の額・方法が定められる。(768条2項・3項)

※ 財産分与には、夫婦の実質上の共同財産の生産分配、離婚後の相手方の生活の維持、精神的損害の賠償のためといった趣旨がある。

裁判離婚…
夫婦の一方は、以下の場合、離婚の訴えを提起することができる。(770条1項)
① 配偶者に不貞な行為があったとき
② 配偶者から悪意で遺棄されたとき
③ 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
④ 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
⑤ その他婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき

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