12. 組織再編

〈事業譲渡〉

会社の事業を別の会社に譲り渡すこと事業譲渡という。

包括的に権利義務関係が移転する合併と異なり、個別に権利移転手続きをとる必要がある。

X社(譲渡会社)の事業をY社(譲受会社)に譲渡する場合。
※ 事業を譲渡してもX社が消滅するわけではない。(吸収合併と違う)
※ 競業避止義務があり、原則20年間はX社は同種の事業を行うことができない。
※ 事業は、一部の事業の譲渡もすることができる
※ Y社は、X社から譲り受けた事業を承継する。譲受会社は、商号を続用したり、債務引受の公告を出したりしているときは、譲渡会社の債務の弁済責任を負う。(22条1項、23条1項)
※ 事業の全部を譲渡する場合、X社もY社もは株主総会特別決議が必要。(Y社がX社の総株式の議決権の90%以上を保有しているなら、X社での株主総会決議は不要【略式事業譲渡】)(Y社がX社の事業の全部を譲り受ける場合でも、Y社がその対価として交付する財産が純資産額の5分の1を超えないときは、Y社での株主総会決議は不要【簡易事業譲受け】)
※ 重要な事業の一部を譲渡する場合、X社は株主総会特別決議が必要だが、Y社は、不要
※ 重要でない事業の一部の譲渡は、X社もY社も株主総会特別決議が不要
※ 事業譲渡に反対する反対株主には、株式買取請求権がある。(469条1項)
※ 合併のときにあるような債権者異議手続きは不要。


〈合併〉

複数の会社1つの会社になることを合併という。
新しく会社を設立して合併することを新設合併という。
既存の会社に吸収することで合併することを吸収合併という。

X社をY社が吸収合併する場合。
※ 消滅会社X社と存続会社Y社で契約を交わすことで吸収合併する。
※ X社は解散し、消滅する。X社の権利義務関係は存続会社Y社に包括的に承継される。
※ X社もY社も株主総会特別決議が必要。(Y社がX社の総株式の議決権の90%以上を保有していたら、X社での株主総会決議は不要。【略式合併】)(Y社が合併の対価として交付する財産が純資産額の5分の1を超えないときは、Y社での株主総会決議は不要【簡易合併】)
※ X社もY社もそれぞれで、反対株主には株式買取請求権が認められる
※ X社もY社もそれぞれで、債権者にも異議を述べる機会が与えられる。(官報に公告し、債権者には個別催告の必要があるが、電子公告にしている場合には個別催告は不要。)債権者が異議を述べたときは、その債権者に対して弁済などをすればよい。債権者から何も応答がないときは、合併を承認したものとみなす
※ 契約で定めた日に、吸収合併の効力が発生する。(⇔新設合併の場合、合併の効力発生日は新会社の設立日になる。)(株主や取締役等は、合併の効力を生じた日から6か月以内に合併無効の訴えを提起できる。合併が無効になっても将来に向かって無効となるだけ。)


〈分割〉
 会社の全部または一部の事業他の会社に譲渡することを分割という。
新しく会社を設立して分割することを新設分割という。
既存の会社に事業を引き継がせて分割することを吸収分割という。
※ 吸収分割の場合、分割会社・承継会社で契約を交わし、分割の効力発生の前までに各会社での株主総会において特別決議で承認を得る必要がある。分割会社の事業は承継会社に承継される。


〈株式交付〉
 買収会社A社が被買収会社B社をその子会社とするため、被買収会社B社の株式をB社の株主から譲り受け、譲渡人であるB社の株主にその対価として買収会社A社の株式を交付すること株式交付という。
※ 株式交付制度は、令和3年3月施行改正により新しく設けられた制度で、これにより円滑に買収した会社を子会社とすることができるようになった。

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