行政目的を達成するための情報収集活動の一環として行われる調査活動を行政調査という。
〈任意調査〉
相手の承諾を前提として任意の協力で行われる調査活動を任意調査という。法律の根拠は不要。(自動車の一斉検問)
〈強制調査〉
調査に応じないときに罰則を科すものや、直接実力行使を伴うものなど強制力を用いる調査活動を強制調査という。(保健所職員による立入検査・国税局職員による犯則調査)
※ 国税通則法では、職員が犯則事件の調査にあたり、臨検、捜査、差押えを行うには、裁判官が発する許可状が必要である旨が定められている。
※ 単なる税務調査であれば、裁判官の許可状は必要ない。
〈判例〉
※ 警察官が、職務質問の一環として、所持人の承諾なく行った所持品検査でも、それが強制にわたらない限り、具体的な状況の下で相当と認められる限度において許容される場合がある。(裁判昭53.9.7)
※ 自動車検問は、相手方の任意の協力を求める形で行われ、自動車の利用者の自由を不当に制約することにならない方法、態様で行われる限り、違法なものとして許される。(最決昭55.9.22)
※ 所得税法に基づく質問検査は、実施の日時・場所の事前通知などが法律上一律の要件とされているものではない。(最決昭48.7.10)
※ 一般行政職員による行政調査は、犯則事件の調査や捜査の手段として利用することは許されない。(最決平16.1.20)
※ 警察官職務執行法2条1項では、警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判出して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしている疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知っていると認められる者を停止させて質問することができる、と規定されている。