緊急の事態に対処するために、義務を命じることなく、直接に国民の身体や財産に実力を加えることを即時強制という。(義務の不履行を前提としない。)
※ 法律の根拠は、緊急時に対処するための実力行使の時に必要な1つでよい。
それと比較して、行政上の強制執行の一つである直接強制では、義務を命じる(下命)の時に法律の根拠が必要で、義務が発生し、その義務が不履行となり、実力行使をするときにも法律の根拠が必要となり、直接強制のときには2つの法律の根拠が必要になる。
例) 消防士が火事で燃えている家の窓ガラスを割って侵入し、中にいた子どもを救助する場合。
〈即時強制の例〉
感染症予防法に基づく強制入院。
消防法に基づく消火活動のための立ち入りや家屋の倒壊。
警察官職務執行法に基づく泥酔者の保護。
道路交通法に基づく違法駐車の自動車のレッカー移動。
入管法に基づく外国人の退去強制。
※ 一般法となるべき法律がないので、個別法に根拠規定が置かれている。
※ 直接強制が義務の不履行を前提としているのに対し、即時強制は義務の不履行を前提としていない点に注意。
※ 直接強制も即時強制も、実力行使のときに法律の根拠が必要な点は共通。