16.行政手続法総論

処分がされるにも意見陳述の機会を与えたり、公正で透明性の高い行政活動が行われることを重視し、処分を下すときのルールなどを定め、事前の予防措置を講じることで国民の救済を図るために、平成5年に制定されたのが行政手続法。(平成6年10月施行)

※ 行政手続法は一般法なので、個別の法律に異なる規定があれば個別の法律の規定が適用され、個別の法律がないときは行政手続法の規定が適用される。(1条2項)


〈行政手続法の条文体系〉

総則(1条~4条)
※ 目的、一般法、定義、適用除外

申請に対する処分(5条~11条)
※ 法的義務と努力義務

不利益処分(12条~31条)
※ 法的義務と努力義務、聴聞で誰が何を行うか、聴聞と弁明の比較

行政指導(32条~36条の2)
※ 任意の協力、方式

意見公募手続(38条~45条)
※ 手続、法的義務と努力義務


〈目的〉

行政手続法は、① 処分、② 行政指導、③ 届出、④ 命令等制定、の手続きに関するルールを定めている。


〈行政手続法の適用が除外される場合〉

~ 一般行政庁とは性格が異なる機関の独自の手続きで行われるため除外 ~

1.国会の議決によってされる処分
2.裁判所の裁判によってされる処分
3.国会の議決を経てされるべきものとされている処分
4.検査官会議(会計監査院の意思決定機関のこと)で決する処分

~ 刑事手続に類似し慎重な手続で行われるため除外 ~

5.刑事事件に関する法令に基づき検察官、検察事務官、司法警察職員がする処分
6.税の犯則事件に関する法令に基づいて税務署長がする処分

~ 処分の性質上、一般法で対象とするものではないため除外 ~

7.学校・訓練所で教育・訓練の目的を達成するために学生・訓練生に対してされる処分
8.刑務所で収容の目的を達するためにされる処分
9.公務員に対して職務・身分に関してされる処分
10.外国人の出入国、難民、補完的保護(難民条約上の難民には該当しないが、国際保護を必要とする者を保護する仕組みのこと)対象者の認定、帰化に関する処分
11.専ら人の学識技能に関する試験の結果についての処分
12.相反する利害の調整を目的とした法令に基づく処分(その双方を名宛人とするものに限る)
13.公衆衛生や保安に関わる事象の発生現場で警察官がなす処分
14.報告または物権の提出を命ずる処分その他その職務の遂行上必要な情報の収集を直接の目的とする処分


〈地方公共団体と行政手続法〉

地方公共団体の機関が行う手続きについては、地方自治を尊重して、行政手続法の規定が適用されない場合がある。
※ 行政手続法における「行政機関」には、地方公共団体の機関議会を除く)も含まれる。(2条5号口)

行政手続法3条3項では、「処分」と「届出」については根拠が条例・規則に置かれるものに限って適用除外としている。根拠が法律・命令に置かれる「処分」と「届出」は適用内

強制指導命令等制定については、一律に適用除外


〈行政機関同士の場合〉

 総務大臣から都道府県知事に対する処分のような行政機関相互で行われる処分については、国民に対して行われる処分ではないので、国民の権利利益の保護を目的としている行政手続法の規定は適用されない。(4条1項)

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