17.申請に対する処分

法令に基づき行政庁の許認可等を求める行為に対し、行政庁がする諾否の応答のことを「申請に対する処分」という。
※ 申請通りの内容で許認可を与えるほか、条件などの附款を付して許認可をすることもできる。(5条~11条)


〈審査基準〉(5条)

申請により求められて許認可等をするかどうかについて判断するための基準。

※ 審査基準を定めることも、定めた審査基準を公にすることも、法的義務規定
※ 行政庁は、審査基準を定めるにあたっては、許認可等の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならない。(5条2項)
※ 審査基準を公にすることは義務だが、例外として行政上特別の支障があるときは公にしなくてもよいものとされている。(5条3項)


〈標準処理期間〉(6条)

審査結果が出されるまでに大体どれぐらいの期間を要するかの目安。

※ 標準処理期間を定めることは、努力義務規定だが、定めた標準処理期間を公にすることは、法的義務規定


〈審査の開始〉(7条)

行政庁は、申請が到達したときには、遅滞なく、当該申請の審査を開始すべきものとされている。

※ 申請が事務所に到達したときの当該申請の審査の開始は、法的義務規定

※ 形式上の要件に適合しない申請については、速やかに、申請者に対し相当の期間を定めて当該申請の補正を求めまたは、当該申請により求められた許認可などを拒否する


〈理由の提示〉(8条)

行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければならない。
※ 処分を書面でするときは、その理由を書面により示さなければならない。(8条2項)

※ 申請拒否にあたり理由を示すことは、法的義務規定

※ 法令に定められた許認可等の要件または公にされた審査基準が数量的指標その他の客観的指標により明確に定められている場合で、当該申請がこれらに適合しないことが申請書の記載または添付書類その他の申請の内容から明らかであるときは、同時に理由を示す必要はなく、申請者の求めがあったときにこれを示せば足りる。


〈情報の提供〉(9条)

行政手続法では、申請に係る審査の進行状況および当該申請に対する処分の時期の見通しや、申請書の記載および添付書類に関する事項その他の申請に必要な情報を提供することは、努力義務規定


〈公聴会の開催等〉(10条)

行政手続法では、行政庁が申請者以外の者の利害を考慮すべきことが当該法令において許認可の要件とされている処分を行う場合、公聴会(特定の事業に対して利害関係人や専門家などの意見を聴取する会合のこと)の開催その他の適当な方法により当該申請者以外の者の意見を聴く機会を設けることは、努力義務規定


〈複数行政庁の関与〉(11条)

複数行政庁が関与する場合、遅延防止に関する規定(1項)と審査の促進に関する規定(2項)がある。(遅延防止は義務、審査促進は努力。)

※ 行政庁は、申請の処理をするにあたり、他の行政庁において同一の申請者からされた関連する申請が審査中であることをもって自らすべき許認可等をするかどうかについての審査または判断を殊更に遅延させるようなことをしてはならない規定は、法的義務規定

※ 1つの申請または同一の申請者からされた相互に関連する複数の申請に対する処分について複数の行政庁が関与する場合に、当該複数の行政庁は、必要に応じ、相互に連絡をとり、当該申請者からの説明の聴取を共同して行う等により審査を促進することの規定は、努力義務規定

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