28.無効等確認訴訟

重大かつ明白な瑕疵がある行政処分の場合、無効効力は生じていない。このような行政処分が無効であることの確認を求める訴訟を無効確認訴訟という。

Xが行政庁Aから無効な課税処分を受けた場合。Xが無効確認訴訟を提起するとき。
※ 処分は無効だから放置していてもいいけど、行政庁側が無効と気づかなければ、その後に滞納処分を受ける恐れがあるので、この滞納処分を避けるために、課税処分の無効の確認を裁判所に求める。
※ 処分の無効を確認する訴訟は、処分の無効の確認を求める法律上の利益を有する者で、現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができないものに限り提起できる。(36条)
※ 無効確認訴訟が提起され、審理の結果、処分に無効原因となる瑕疵が存在しないと判断された場合、当該訴えは棄却される


〈争訟争点〉
私法上の法律関係に関する訴訟において行政処分が無効かどうかなどが争点とされている訴訟を争点訴訟という。
※ 争点訴訟は、このような訴訟の呼び名であって、行政事件訴訟の類型ではない。
※ 争点訴訟には、行政庁の訴訟参加(23条)、処分または採決をした行政庁への出訴の通知(39条)、釈明処分の特則(23条の2)、職権証拠調べ(24条)、訴訟費用の裁判の効力(35条)の規定が準用される(45条)

無効な土地収用の処分を受けた者が土地の所有権をめぐる法律関係について争う場合。

A県の収用委員会から土地収用の処分を受けたXが当該処分には重大かつ明白な瑕疵があり無効であるため、現在土地を所有している起業者Bに対して、収容された土地の所有権は自分にあることを主張する場合、Bを被告として、所有権確認訴訟(民事訴訟)を提起する。⇔ 無効確認訴訟は行政事件訴訟。
※ 企業者Bを被告として、現在の法律関係に関する訴えとして所有権確認訴訟(民事訴訟)を提起し、その訴訟の中で処分が無効であることを主張して解決できるから、無効確認訴訟は提起できない
※ 無効確認訴訟は、他の訴訟では対応できないときに提起できるもので、補充的な性格を持っている訴訟形態。


〈準用条文〉
取消訴訟と同じルールが適用されるところは、取消訴訟の条文を準用する形式がとられている。(38条)

~ 取消訴訟と同じルールが無効確認訴訟にも準用されているもの ~
※ 執行停止の規定
※ 被告適格の規定
※ 裁判管轄の規定
※ 判決の拘束力の規定
※ 訴訟費用の裁判の規定

~ 取消訴訟と同じルールが無効確認訴訟には準用されていないもの ~
※ 審査請求前置の規定
※ 出訴期間の規定(無効の確認をするだけなので出訴期間の制限はない。)
※ 判決の第三者効の規定
※ 事情判決の規定

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