国の関与… 国からの助言、是正の要求、国の許認可などの総称
地方公共団体は、その事務の処遇に関し、法律またはこれに基づく政令によらなけらば、国からの関与を受けまたは要することとされることはない。
※ 関与は、目的達成のために必要最小限度のものとし、普通公共団体の自主性・自立性に配慮する必要がある。(245条の3第1項)
〈助言または勧告の方式〉
国の行政機関が、A市に助言・勧告する場合。
※ 書面でしなくてもよい。
※ 書面の交付を求められれば、交付しなければならない。(247条1項)
※ その場において完了する行為を求める場合や、すでに書面により通知されている事項と同一の内容である場合、書面の交付は必要ない。(247条2項)
※ 助言または勧告に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをすることは禁止されている。(247条3項)
〈是正の要求の方式〉
国の行政機関が、A市に是正の要求をする場合。
※ 同時に書面の交付が必要。(249条1項本文)
※ 書面を交付しないで是正の要求をすべき差し迫った必要がある場合は、同時に書面を交付する必要はない。(249条1項ただし書き)
※ この場合、是正の要求をした後相当の期間内に当該書面を交付すればよい。(249条2項)
手続きの法定
〈審査基準〉
国の行政機関は、普通公共団体からの申請等があった場合において、許認可等をするかどうかを法令の定めに従って判断するために必要とされる基準を定め、かつ、行政上特別の支障があるときを除き、これを公表しなけらばならない。(250条の2第1項)
〈標準処理期間〉
国の行政機関は、申請等が当該国の行政機関の事務所に到達してから当該申請等に係る許認可等をするまでに通常要するべき標準的な期間を定め、かつ、これを公表するよう努めなければならない。(250条の3第1項)
〈処分基準〉
国の行政機関は、普通地方公共団体に対し、許認可等の取消し等をするかどうかを法令の定めに従って判断するために必要とされる基準を定め、かつ、これを公表するよう努めなければならない。(250条の2第2項)
〈理由の提示〉
国の行政機関は、普通公共団体に対し、申請等に係る許認可等を拒否する処分をするときまたは許認可等の取消し等をするときは、当該許認可等を拒否する処分または許認可等の取消し等の内容および理由を記載した書面を交付しなければならない。(250条の4)
〈国の関与の救済〉
A市長が国に対して行った許認可申請に対し、国が申請を拒否する処分をした場合、A市長は国の処分に不服があるとき。
※ 国地方係争処理委員会(総務省にあり委員5人で組織されている)に対し、関与を受けた日から30日以内に、文書をもって審査を申し出る。
※ 国地方係争処理委員会の審査は、自治事務の場合は関与の違法性のほか不当性についても及ぶが、法定受託事務の場合は関与の違法性の審査に限られる。(250条の14第1項・2項)
※ 国の関与に関する訴訟を提起するにはその前に国地方係争処理委員会の審査を経なければならない。(審査の申出前置主義、251条の5第1項)